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苛性ソーダ濃縮装置

装置の用途

当社の苛性ソーダ濃縮装置は、主に電解ソーダ工業設備で生成した32wt%液体苛性ソーダを一般的に流通している50wt%まで濃縮する用途で主に使用されます。
尚、電解ソーダ工業では、塩水を電解槽にて電気分解(イオン交換膜法(IM法))することにより苛性ソーダ、塩素、水素が発生します。(下記概略図、ソーダ工業会資料より)

苛性ソーダ水溶液の特徴

化学名は水酸化ナトリウムといい、強いアルカリ性を示す代表的な強アルカリ物質です。
アルミニウムや化学繊維、石鹸洗剤の原料として使用されたり、パルプの溶解や漂白といったさまざまな工業製品の製造に使用されています。
又、金属の溶解、精製、不純物の除去、漂白、中和、軟化等の基礎素材となります。
  1. 苛性ソーダ水溶液の沸騰温度は、純粋な水と比較してかなりの高温度になります。これは、苛性ソーダ水溶液の沸騰温度と純粋な水の沸騰温度の差を表しています。
    例えば、苛性ソーダが50wt%の場合、沸騰温度で水との差は約45℃となり、これは大気圧において水は100℃で沸騰しますが、50wt%の苛性ソーダ水溶液では、145℃まで温度を上げないと沸騰しないことを表しています。

     

  2. 高温の苛性ソーダ水溶液は、金属に対して強い腐食性があります。(48wt%苛性ソーダの各温度におけるニッケルの腐食速度は、文献値より次のようになります。)
    表-1 48%NaOHに対するNiの腐食速度
    温度条件 100℃ 150℃ 200℃
    腐蝕速度[mm/年] 0.0013 0.0095 0.0576

    ※ 8000hr/年として換算 

    文献値より、ニッケルは他の金属に比べて苛性ソーダの耐食性が非常に高いことが分かります。また、腐食速度は、温度依存性が高いことが分かります。

  3. 苛性ソーダの電解プラントは、ほとんどの場合生産規模が非常に大きくなります。

濃縮装置の特徴

ヒーターにはフォーリングフィルム型(ワンスルー)を採用しており、加熱時間が非常に短く、苛性ソーダが高温に晒されている時間が短くなります。
優れた液分配機構により、伝熱の温度差が小さい場合でも、安定した運転が出来ます。
伝熱係数が大きく、設置面積の小さいコンパクトで安価な設備となります。
装置内に保有する液量が少ないため、スタートアップやシャットダウン時の運転操作が迅速であり、また濃度制御が容易となります。運転負荷変動に対しても安定した対応が可能であります。
世界中に多くに実績を持ち、適切な材料選定により良好な製品品質が実証されています。
温度の分布を最適にすることで、高価なニッケル使用量を最少にします。
自社製品のため、3DCADでの設計が可能で、かつ高品質で安価です。

フォーリングフィルム式について

ヒーター上部へ供給された苛性ソーダ水溶液は、伝熱管の内面を均一な膜を形成し流下します。その間に伝熱管の外側からスチームで間接加熱されることで沸騰しベーパーが発生します。 発生したベーパーは、伝熱管の中央部を下に向かって高速で流れ、濃縮された液も、薄い膜となってベーパーと同じく下へ向かって流れます。
ヒーター下部には蒸気と水溶液の分離機構があります。この絵は、濃縮された液が取り出され、一部は供給液とともに上部へ再び供給される、循環方式です。苛性ソーダ濃縮装置には、循環しないワンスルー方式の方がよく使われます。

効用に関して

3重効用では苛性ソーダ水溶液を3段階で32wt%から50wt%まで濃縮します。温度も高いほうから第1効用缶、第2効用缶、第3効用缶といいます。
典型的な一例ですが、主要材質はニッケル、ニッケル、ステンレスとなります。
又、2重効用では苛性ソーダ水溶液を2段階で32wt%から50wt%まで濃縮します。温度も高いほうから第1効用缶、第2効用缶といい、主要材質はニッケル、ステンレスとなります。

効用に関して

2重効用と3重効用の比較
  2重効用 3重効用
運転費
ボイラスチーム・冷却水
1.0 0.7
建設費 1.0 1.25
適用範囲 as 100% NaOH
(ton/日)
≦250 >250
運転費は2重効用が1としたら、3重効用は約0.7、建設費は逆に2重効用1に対して3重効用は約1.25となります。
運転費を重視するか、建設費を重視するかで選択が変わりますので、お客様との綿密なお打合せにて決定されます。
2重効用と3重効用の適用の境目ですが、苛性ソーダトン/日で250程度となりますが、あくまで一般的なイメージです。

納入実績

新設はもちろん、改造でも多くの実績があります。
例えば、第1効用缶等を強制循環型から液膜降下型へ改造したり、2重効用式を3重効用式へ改造したりといった効率化や省エネ化での実績が多数あります。
イオン交換膜法苛性ソーダ濃縮装置 納入実績表
No 納入先 場所 型式 生産量 ton/日
100%NaOH
納入年
1 T社 日本 3重効用(改造) 70 1985
2 T社 日本 3重効用 125 1985
3 T社 日本 3重効用(改造) 170 1989
4 T社 日本 3重効用 320 1990
5 K社 日本 3重効用(改造) 200 1990
6 S社 日本 3重効用(改造) 350 1992
7 S社 日本 3重効用(改造) 350 1996
8 A社 マレーシア 2重効用 150 1996
9 K社 インドネシア 3重効用 650 1997
10 A社 中国 2重効用 60 1997
11 A社 インドネシア 2重効用 65 1997
12 A社 日本 2重効用(改造) 1050 1998
13 T社 日本 3重効用 550 1999
14 T社 日本 3重効用 1050 1998
15 J社 日本 2重効用(KOH) 150 2001
16 A社 日本 3重効用(KOH) 550 2001
17 A社 日本 2重効用 660 2001
18 A社 インドネシア 3重効用 200 2001
19 C社 フィリッピン 2重効用 20 2002
20 A社 日本 3重効用(改造) 660 2004
21 T社 日本 3重効用 550 2004
22 H社 韓国 3重効用 936 2005
23 K社 日本 3重効用(改造) 900 2005
24 S社 中国 3重効用 650 2005
25 K社 日本 3重効用(改造) 900 2006
26 H社 韓国 3重効用(改造) 550 2007
27 S社 日本 3重効用(改造) 170 2007
28 T社 日本 3重効用 380 2007
29 N社 中国 3重効用 182 2007
30 S社 日本 3重効用(改造) 172 2008
31 S社 日本 3重効用(改造) 452 2010
32 S社 インドネシア 3重効用(改造) 1000 2011
33 S社 日本 3重効用(改造) 200 2012
34 A社 日本 3重効用(改造) 1040 2012
35 S社 インドネシア 3重効用(改造) 1000 2014
36 A社 日本 単効用 6.5 2015
37 M社 日本 3重効用 150 2017

苛性ソーダ濃縮装置の特徴

  1. 3重効用・液膜流下式
  2. 蒸気効率: ~230%
  3. 能力: 蒸発量=3Ton/Hr ~ 40Ton/Hr
苛性ソーダ生産量と苛性ソーダ濃縮装置の適用例
苛性ソーダ生産量(as 100% NaOH) 11,000Ton/年
(330Ton/日)
16,000Ton/年
(480Ton/日)
350,000Ton/年
(1,050Ton/日)
濃縮装置・供給液量(as 32% NaOH) 43,000kg/h 62,500kg/h 136,720kg/h
濃縮装置・蒸発量 15,500kg/h 22,500kg/h 49,220kg/h
濃縮装置・スチーム消費量(at 0.6MPag) 6,460kg/h 9,400kg/h 20,500kg/h
設置面積 12m×10m 12m×10m 12m×10m

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